日本の超少子高齢化が経済社会に与える衝撃が既に始まっています。日本の財政による社会保障給付は当然のことながら、医療費よりも年金給付が上回っています。
当然のことながら政府は、社会保障給付のうちの最大給付費目である年金給付の抑制に乗り出しています。例えば、政府が2016年の臨時国会に提出した「年金機能改正法案」(正式には、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」)がそれです。しかし、大きな問題点が指摘されています。その問題点としては、
民進党(蓮舫代表)の試算によると、この法案を過去に適用すると、国民年金は年間約4万円、二階建て部分(給与に比例する比例報酬額)は年間約14万2千円も少なくなります。
第一次石油ショックをきっかけに1970年代初頭に初めて起こり、1990年台のバブル崩壊以降続いているスタグフレーション(不況下の物価上昇)が今後、深刻化すれば、65歳以上の年金受給者に深刻な打撃が与えられます。これに、超高齢化・少子化に伴う「マクロ経済調整制度」が加われば、国民生活は内需の不足で、スパイラル的に厳しくなります。本法案は、2016年臨時国会での与野党激突法案になっています。
公的年金制度は夫婦を前提に制度設計されているため、未婚の中高年男性・女性の急増や結婚の晩婚化の加速、出生率の低い数字での横ばい(による人口減少社会への以降)は、行き過ぎた「核家族化」と相まって、日本の経済社会の活力を減殺し、将来の日本に希望と誇りを持てなくなる若年世代が増大することは必至でしょう。
社会保障・社会福祉制度の充実とともに、効率の悪い核家族の行き過ぎを是正するとともに、経済社会の中核としての健全な家庭を育成するための制度・政策の強化が不可欠です。