わが国・日本の経済社会の展望は厳しい状況です。1990年代初頭のバブル崩壊後、経済社会は長期にわたるデフレ不況に落ち込んでおり、特に「超氷河期」以降に就職された方が厳しい生活に直面するなど、社会から全般的に活力が失われてきています。
※格差脱出研究所調べによるものです。
こうした中で深刻な問題は、①戦後の第一次ベビーブーマー(戦後の1947年=昭和22年=から1949年=昭和24年=の間に誕生された男性・女性)が完全に公的年金受給世代に移行した②超少子化が進んだーことの二点です。現行の公的年金制度は、その昔に「積立方式(現役世代に貯蓄した資金を運用し、退役時代に入って生活資金として受け取るという方式)」と呼ばれていた頃とは様変わりして、現役世代が退役世代に「仕送り」し、仕送りした程度に応じて退役時代に公的年金を受け取るという「世代間扶養方式」に移行しています。
このため、「非常に少ない現役世代」から「大勢の退役世代」に仕送りするという形にならざるを得ず、現役世代の負担増加が避けられず、退役時代(老後)の生活も保証されていません。特に、無年金・低年金で生活の基盤がない高齢者の方々が増えており、深刻な社会問題になりつつあります。こうした状況は、世界でも例のない状況です。
最初に、日本の超少子化の現状を見てみましょう。一人の女性が生涯に出産する赤ちゃんの数を出生率(難しく言えば「合計特殊出生率」)と呼ぶことにしていますが、出生率が2.0から2.1以上ないと、その国の人口は減少していきます。2015年2月26日に発表された国勢調査によりますと、2015年10月1日時点で、日本の総人口(外国人を含む)は1億2711万47人であることが明らかにされ、5年前に比べて94万7305人(0.7%)減少しています。日本の人口が減るのは、1920年の調査開始以来、初めてのことであり、2010年から2015年の間に日本は人口減少社会に突入したことになります。
これは、出生率が戦後、低下したことが第一の原因です。政府(厚生労働省、内閣府の少子化対策室)によりますと、2013年=平成25年=までの出生率は次のようになっています。
出生率の流れを少し引用してみましょう。
現在のところ、出世率は1.4から1.5の間で推移していると見られますが、様々な要因のため、力強い上昇は望めない状態です。これでは日本の総人口の減少が続くの当然です。少し古いですが、政府の発表した先進諸国の比較のグラフを下記に示します。
日本、ドイツ、イタリアが出生率の低迷を続けていますが、これに加えて超高齢化が進んでいるのは日本だけです。出生率は何故、著しい低下を続けているのでしょうか。それには次の二つの要因があると思われます。
超少子・高齢化が及ぼす人生と経済社会への悪影響を次に鳥瞰(ちょうかん)してみましょう。